コンピュータ業界の不思議なこと
篠原 隆司
私は小学生のときにコンピュータを初めて触って以来、独学でプログラムを覚え、趣味で制作したソフトウェアをインターネットを通じて公開し、また自分個人でも大小含め100近くのホームページを運営しております。
私は、8年ほどサラリーマンとして、いくつかの会社に勤めておりました。
その中で、同僚や、同業他社の方とも親しくなり、ホームページやソフトウェア開発の話しになることがあります。
そこで常々不思議に思っていることがありました。
「何故、自分でホームページを持たないのだろう?」
仕事として、それらに携わっている人たちばかりです。
作れる技術を持っている方たちです。
なのに、自分でソフトウェアを開発して公開したり、ホームページを作ったりしていないのです。
これがどうしても不思議でなりませんでした。
ソフトウェアをフリーとして公開すれば、使ってくださる方から、ちやほやされます。もてはやされます。感謝されます。期待されます。場合によっては、個人ではなく法人の方がソフトウェアを採用してくれることだってあります。
これは、お金にも勝る喜びであり、さらに喜んでもらいたい気持ちになります。
そうやって、最初は小さかったソフトウェアも次第に大きくなるとともに、自分自身の技術力が加速的に向上していくのが実感できます。
お金にはなりませんが、得られるものは何よりも大きいのです。
それでは、と。お金を目的に考えてみます。
ホームページはお金になります。人気あるホームページを作れれば、企業がホームページごと買い取ってくれることもよくあることです。
また、小規模であっても、ホームページ広告を設置してお小遣い程度の額を稼ぐことも可能です。
そして、そこに参加している方々はというと、パソコンを覚えたばかりの素人です。
毎日ホームページ制作やプログラム開発しているプロたちにとっては赤子同然です。
そういった素人たちが一生懸命ホームページと格闘しているなか、何故かプロたちは何もしていないのです。
とても不思議なことです。
その不思議なことは逆転を生んでしまいます。
素人だったみんなが、プロになってゆく。
素人プロです。
インターネットを大海原と例えてネットサーフィンなどと呼ぶ時代がありましたが、まさにその通りなのです。
企業から仕事を請け、頼まれたものを作る。
そうやってぬるま湯に浸かっているプロと、
大海原に駆け出し、日本中のプロ、いや世界のプロを相手に勝負を挑んでいる素人。
どちらが技術力を持つかは明白でしょう。
最近では、インターネット上で自分の作品を発表する「本当のプロ」が増えてきております。
でも、まだまだ少数派です。
気がついた「プロ」だけがやっと重い腰を上げてきたのです。
でも、残念ながら、それらの「プロ」は若年層です。
学生の頃からインターネットが当たり前で過ごしてきた若者達。
そして、最後にもうひとつだけ。
お客さまがご検討、ご契約されている、ホームページ制作業者は、自社独自のホームページサービスをお持ちでしょうか?
会社案内のホームページではなく、「サービス」を。
大海原でもまれているのか、ぬるま湯なのか?