知的情報を公開するということ

webnaで記事を書き始めて2週間。
これまでに、プログラムコードなど私の頭の中にある知識の一部を掲載してきました。
まぁ今の時点で掲載している内容は、テクニックとかそんな大げさなもんじゃないかもしれませんが、予備知識の記事が一通り終ったら高度な内容に移行していきたいので、そんな未来的なところも含めて・・・。

あと、記事だけじゃなく、『リンク』のページに掲載しているリンクについても。

プログラムの紹介にしても、リンクの紹介にしても、同じことが言えるんですけど・・・

そこまで教えちゃっていいのか?


なんでかっていうと、今まで自分が何年もかけて積み重ねてきたものがそこにあるから。
プログラムを読めるようになるだけなら、少し勉強すればOKです。
プログラムを書けるようになるだけなら、少し勉強すればOKです。

でも、それだけじゃダメなんです。

自動車学校で自動車の運転の仕方は教えてくれるけど、3車線道路の左車線を走ってて右折するために右車線までどうやってスムーズに移動すればいいかは教えてくれません。

学校で足し算引き算は教えてくれるけど、買物で963円のときに、1013円払えば、50円玉でお釣りをくれるなんて教えてくれません。

料理本や料理教室で、おいしい料理の作り方は教えてくれるけど、その料理であまった材料を使って次の日の朝食が手軽にできるところまでは教えてくれません。

なんていうか、こういう『経験から分かるもの』ってのを伝えたいのですが伝わりますかね??

プログラム関係だと、デザインパターンや、各種サンプルプログラムなんてのは、先人の知恵の塊です。最初に始めた人が何度も何度も必死で試行錯誤して作り上げてきたものです。

デザインパターンを知っている人と知らない人では、全く同じシステムを作るにしても、時間的にも、バグの混入率にしても、大きな差が生まれることは必至です。
数学に例えると、公式が存在する問題を、公式を使わずに解くようなものです。
こう考えると公式って、数学の世界の先人達が作り上げた計算パターンと言いかえれますね。

さてさて、ちょっと脱線してしまいましたが、デザインパターンだけに限らず、プログラマ1人1人が持っているテクニックというのも存在します。こういうときはこういう方法を用いるのがベストだ!ってね。あるシステム構築に、デザインパターンを適用するかしないかを判断するのも、経験が大事です。デザインパターンを用いたがためにより複雑なプログラムになったなんてことになると本末転倒です。

そこまで教えちゃっていいのか?

話をまとめるために(↑)もう一回書いちゃいました。

まぁここまでで、『経験から分かる大事なもの』があるってことを理解して頂けていればと思います。

で、その大事なものをwebで不特定多数の人に公開するということ。
それが本題ではあるわけです。

自分が発見したものだから誰にも教えたくない。大事にしておきたいって思う気持ちはあると思います。だって、公開するということは、自分以外の人が知るわけで、自分自身の能力のアドバンテージが小さくなっちゃうと思いませんか?競争相手がいるならなおさら、自分の優位性を保つために秘密のテクニックは封印しておきたいものです。

でも、webを見回してみると、PHPだけをとっても溢れるくらいのサイトがあります。サンプルコードやテクニックが満載です。掲示板で質問をすればどこからともなくやってきて、答えを置いていってくれます。

彼らはどうしてそんなことをしてくれるのでしょうか?
他人に知識を渡すことは、自分のライバルを増やすことになり、自分の首を絞めるようなものです。

見得のため?
質問に回答をしてあげて、「ありがとう」って言われるのがうれしくてしょうがない。喜んでくれる人がいるからどんどん教えてあげる。そういう方もいらっしゃるかと思います。

でも、本質はそうじゃないと思うんですよね。

見得のためにやっている人。書きたいから書いているだけの人。色々あると思いますが、そういう人に対して共通して言えることは

自分にとって価値のない知識だから

だと思います。

見る人が見ればすごく貴重な記事ということで、本人にとってはそこに掲載している内容は自分にとって使い道のない知識だったり、提供者自身にとっては知ってて当たり前のことと思いながらも周囲の人にとっては神がかり的なことであったり。はたまた、ただの記者であり、記事を書くことでご飯を食べ、プログラムは二の次って方もいるかもしれません。

検索エンジン上位表示を目指すSEOとかは分かりやすい例えになるんじゃないかと思います。web上に掲載されているSEOって基本的に最低限当たり前のことだと思います。だけど、SEOという言葉を初めて聞いたような人は、「それがすべてだ」と思ってしまいます。SEOで本当に大事な「ココだけは外しちゃいけない」って内容なんかは絶対に公開していません。

だって、それがSEO屋さんの武器であり、商売のネタだから。
いや、商売をしていない個人サイトでも、自分のサイトを検索上位に持って行きたいという気持ちは有るハズだから、そんな秘密を簡単には教えてくれるはずがないでしょう。

先日、このwebnaにリンクを設置しました。ここは主に、私のブラウザに蓄積されていたブックマークをピックアップして掲載しています。どのサイトをここに掲載するか1つ1つ確認しながらやっていたわけですが、正直なところ「このサイトを載せるのはやめようかな」と思うものもいくつかありました。

たぶん、その載せるか載せないか躊躇したってサイトが、私の限界点を表しているのだと思います。そこに掲載されている内容が、私にとってはまだ『当たり前化』できていない証拠です。

いま、webnaに掲載されている情報が、閲覧者さんにとってどのように見えているかは分かりませんが、少なくとも私にとっては『当たり前』となっている情報や、私が持っていても使い道の無い情報ということになります。そもそも、最先端のことや高度過ぎることは私自身が勉強中の身であり、人に伝えられるほど自信を持って理解できていないってのもあります。

情報公開するということは、作者個人にとって使い道のない情報 または 作者個人にとって当たり前になってしまった情報

だと思います。

PS:
でも、改めて読み返すとこういう記事って誤解を生みやすそうですよね。
後継者を育てるとか、日本をよくするためとか、そういう大義名分もあると思います。あと、使い道の無い情報と言うからって、”記事にする”という使い道は考えないものとしてください。